樹形20㎝×左右29㎝で足元が盤根状(ばんこんじょう)に発達した楓の株立。樹高は20㎝で左右の間口が29㎝ほどです。小品盆栽の普通サイズにちょうどいいサイズです。
楓は壮健な樹勢で、何よりも様々な樹形に仕上げることが可能なため雑木の中でも代表的な樹種です。
単幹の模様木から直観体まで、そして文人風な細身の株立からこの楓のような力に溢れたものまで、あらゆるジャンルの樹形が可能です。
石付きや寄せ植え、さらにはミニ盆栽から超大物盆栽までと、限界を知りません。
鑑賞の面からでは、春の芽だしや新緑時の豪華な躍動感に始まり、深い緑の幽玄なる杜の風景はやがて錦秋の季節へと向かって、四季折々に我々の目を楽しませてくれます。やがてすべての葉を落葉させる寒樹の季節になれば、そのときが最も盆栽家の待ち遠しい季節であって、待ちかねた裁家たちは盆上に理想の造形を求めて自然と格闘をはじめるのです。
盤状(ばんじょう)の根張りはただ四方八方に張っているだけでなく、根張りに高低や強弱の変化もあって、大地をシッカリ掴んだ力強さが大切です。
その点でもこの楓の株元は理想的といえるでしょう。↓
根と根が絡んで癒着した感じが古色感をよく表現しています。
正面のフトコロのよく見える位置からよく検証してみます。落葉後には子幹の配置や数についてついて検討することになるでしょう。
後から見ても根と幹のバランスは申し分ありません。何より嬉しいのは切り込みの傷っけがまったくないことです。傷っけのないことは完成度の高さを示しているわけですね。
後姿の足元拡大図です。将来の名品候補の優良品です。じっくりご覧になってご自分の樹作りの参考にしてください。
ちなみに楓の枝作りの管理についての第一のポイントは葉刈り。
樹勢をよくして入梅前の5月と6月に全面的な葉刈りを2回、樹勢がよければ入梅明けに半葉刈りを1回行う。つまり合計2.5回実施するのが理想的です。ともかく樹勢と相談しながら実行しましょう。
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