人気樹種のわりに、捩幹ざくろの小品やミニはあまり市場に出回っていません
まして幹が太くてサイズのつまった、いわゆるずんぐりむっくりタイプの力強いミニの優品などは皆無です
大物盆栽においてもそれは同様であり、小品やミニの世界を含めて
捩幹ざくろの盆栽は幼いころからじっくりと時間をかけての気長な培養によってのみ、優れた作品となり得るのです
ですから、畑作りの素材は一見して迫力はあっても、優品に育て上げるのはまず不可能といえるでしょう
そして、その理由は捩幹ざくろ特有の性質にあります
では、捩幹ざくろを仕立てる課程で非常に大切な特性について
ここでしっかり勉強しておきましょう
挿し木から8年間の培養管理による捩幹ざくろの素材
捩幹ざくろの場合、このように幹に傷っけのないことが優品への第一条件となります
そろそろ捩幹特有の捩れが幹や枝に見られるようになりました
捩幹ざくろは幹も枝も、成長とともに左方向(反時計回り)に捩れる性質を持っています
さらに、水吸いの縦方向の独立性が強く、横方向、つまり両隣からの養分の移動がかなり少ないのです
ですから、例えば他の盆栽樹種(もみじ・かえで)などでは、大きな枝を切った場合でも
葉で作られた養分や根から吸い上げた水分などが、上下左右の四方から傷口の治癒のために応援してくれます
しかし、捩幹ざくろの場合は、左右の水吸いに知らんぷりされて援助なし
太い枝を切れば、盆栽の場合ほとんど例外なく、その下方が螺旋状に焼け込んでしまうのです
赤線で太い枝を切った場合、その枝の上部からの養分は期待できず、まして螺旋状につながった根の水揚げは止り
さらに左右両隣からの援助なもなく、幹肌と形成層は図のように螺旋状に焼け落ちてしまいます
以上の理由で、捩幹ざくろは他の樹種のように、幹の切り戻しによる素材作りが不可能なので
ずんぐりむっくり樹形の太幹小品やミニが皆無なのです
ご理解いただけましたか?
とはいえ、捩幹ざくろは盆栽樹種としての美点をたくさん持っていて
昔からの人気樹種であります
美点をあげれば
1 幻想的な感じさえする幹の捩れと古色感あふれる幹肌の美しさ
2 鮮やかな春の芽だしと寒樹の繊細な枝先
3 夏から秋にかけての開花と実成り
ということで、捩幹ざくろの培養の勘所は
1 まず、優れた素材、とくに太い枝を切る必要のないもの、それに出会うこと
2 枝先に勢いをつけ過ぎないよう、徒長枝を早めに取り除き、じっくりと育てる
3 冬期の防寒に気をつけ、培養期には多肥多水で育てる
以上を守れば比較的に丈夫な樹種です
チャレンジしてみて下さい
ではまた
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