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2012年8月20日月曜日

呼び接ぎ切り離し

江戸時代よりも以前、すでに戦国時代から行なわれていたという接ぎ木技法ですが
現代の盆栽人にとっても、とくに小品盆栽の愛好者には非常に大切な技法です

普通サイズの盆栽は幹の太さや葉がさなどの迫力の要素で見られるせいか
施術はそれほどには実施されていません

しかし、小品盆栽では、より造形的な厳密さが求められる傾向があるので
枝順などを整える手段としての、呼び接ぎ技法が多様されている感じです

さて、その呼び接ぎですが、案外みなさんが失敗するのが
呼んだ元枝の切り離しの急ぎすぎです

画像で詳しく見てみましょう


出猩々取木素材、今年の春の3月頃の画像です
前年の入梅頃に幹に溝を削り込んで呼び接ぎをかけてあります


拡大図

この時点では穂木の丈夫に完全に肉巻きしており
一見すると呼び接ぎ成功とも見られますが、まだ切り離しの時期には早すぎます

まず、呼んだ枝の入り口(元枝)と出口(穂木)の太さがほとんど同じですね
ということは、穂木はまだ幹とは完全に活着しておらず、まだ元枝の水揚げを必要としているのです

この段階で切り離しを急げば
せっかくの穂木が萎れてしまうこともあります

それに加えて、まだ芽の動かない休眠中に切り離しを行なうと
穂木の元気さや生育状況がわかりにくいので、もう少し我慢するのがより正しい選択です


7月19日に確認したところ
ご覧のように穂木(左)が元枝(右)よりもかなり太くなっていました

穂木はすでに必要な水のかなりの割合を
元枝よりも活着した幹から揚げている証拠です

もう穂木は一本立ちできるはずですから
この時点で元木を切り離しました

ただし、元枝はすぐに元から切らずに
後日の比較検討のために数㎝ばかり残しておきますね


8月10日撮影

一本立ちしてから20日間が経ちました
左右の枝の太さはますます差が開いています

この時点ではじめて「呼び接ぎ成功」
穂木は完全に独立した一本の枝になったのです


入り口を削って癒合剤を塗布
穂木から新しい枝へとステップアップしました

急ぎすぎないで~!
ではでは

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